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研究・雑学

70年追跡で判明…お金の悩みが続くと53歳で記憶力低下、脳も縮む

2026年7月27日
70年追跡で判明…お金の悩みが続くと53歳で記憶力低下、脳も縮む

「今月の支払い、どうしよう…」そんな悩みを何度も経験している人、要注意だ。なんと、長期間にわたる経済的ストレスが、単なる精神的な負担だけでなく、脳そのものに物理的な変化をもたらす可能性が、70年にわたるイギリスの大規模研究で示された。

研究チームは1946年3月の同じ週に生まれた英国人を対象に、長期間追跡調査を実施。約3000人ものデータを分析した結果、26歳、43歳、53歳の時点で世帯収入が下位20%だったり、生活費のやりくりに苦労した経験が複数回ある人は、そうでない人に比べて、53歳時点での記憶力と情報処理速度のテストスコアが低かったという。まだ「認知症なんて関係ない」と思っている年齢なのに、だ。

さらに、69〜74歳になった時点で脳をスキャンしたところ、低収入が続いた人たちの脳には、組織が縮んだ後にできる「液体で満たされた空間」が明らかに大きかった。つまり、脳の一部が縮んでいる証拠だ。研究者いわく、53歳でスコアが低かった人たちはその後急激に悪化しなかったそうだが、これは「老化によるダメージが加わる余地がなかった」という不気味な解釈もできるという。

特に影響が強く出たのは男性と、APOE-ε4と呼ばれるアルツハイマー病のリスク遺伝子を持つ人たち。男性は低収入歴があると処理速度の低下が顕著で、脳の萎縮も女性より速かった。そしてリスク遺伝子キャリアかつ経済的に厳しい状況だった人は、アミロイド(アルツハイマーに関連するタンパク質)の蓄積が最も多く、脳の萎縮も最速だった。子供時代の知能や精神的な健康歴などを考慮に入れても、この関連性は変わらなかったという。

「お金の心配が脳を蝕む」なんてSFみたいな話だが、研究者は「慢性的な経済的ストレスが精神的な余裕を奪い、脳のリソースを消費し続ける」と推測。心臓病や仕事の不安定さなど他の要因も考えられるが、この研究は「経済的困難は修正可能な脳の健康リスク要因」と位置づけている。つまり遺伝子と違って、社会のサポートや政策でなんとかなる可能性がある、ということだ。

とはいえ、この研究はあくまで「関連性」を示したもので、因果関係の証明ではない。参加者が脱落しやすく、残った人は比較的健康で恵まれた背景を持つ傾向があったなど、いくつかの限界も指摘されている。それでも、生活費の高騰が叫ばれる今、この研究結果は「目の前の支払い」以上に深刻なものを私たちに突きつけているのかもしれない。

70年追跡で判明…お金の悩みが続くと53歳で記憶力低下、脳も縮む

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